6月新刊サンプル+部数アンケート

  6月東京イベント・JUNE BRIDE FES 2024内

  たとえ敵でも愛死天流 JB2024で犬の気持ちを新刊で出します。

  あともう1冊書いてるけど先にこっちがほぼできあがりつつあるので告知も兼ねて

  またサークル側でのイベント参加+小説での初めての発行のため、部数がまっっったくわかりません!!!

  なので、よければ部数アンケートにご協力をよろしくお願いします。

  ◇◆◇

  文字は約8万字強、200P以上になりそうです。サイズはA6(文庫サイズ)予定。

  価格はイベント価格で高くて1500円前後予定。

  中身はPixivに載せている犬の気持ち①〜⑤の加筆修正したもの+書き下ろし予定

  以下目次

  1.出会い(Pixiv加筆修正)

  2.黒龍(Pixiv加筆修正)

  3.獣人の五感(書き下ろし)

  4.天竺(Pixiv加筆修正)

  5.東卍(Pixiv加筆修正)

  6.すぐそこにあったもの(書き下ろし)

  7.施設と黒幕(Pixiv加筆修正)

  8.1人でできるもん(書き下ろし)

  9.ファッション(書き下ろし)

  10.テーマパーク(書き下ろし)

  予定としてはイベント配布→残部を虎さんで通販予定を考えています

  アンケートはこちら↓

  [[jumpuri:新刊(犬の気持ち)部数アンケート > https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdusJFaoGEr0nlzX5IqP06GRuAHcTC5stcNqNaiO-6sKJQqcQ/viewform]]

  ◇◆◇

  あとX(旧:Twitter)とBlueskyもやっているのでよければ

  基本はXいます

  こっちで進捗とか小話とかチラチラ載せてます

  X(旧:Twitter)→https://twitter.com/yue_novel2020

  Bluesky→https://bsky.app/profile/yuenaru.bsky.social

  ◇◆◇

  一部修正が入るかもだけど次ページから

  『1人でできるもん』

  『テーマパーク』

  の書き下ろしサンプルです。

  [newpage]

  8.1人でできるもん

  「あ!」

  始まりは料理をしていた鶴蝶が声を上げたことだった。イザナと武道は顔を見合わせ揃って首を傾げる。

  どうしたのかな? どうしたんだろうな? と言葉を発さないながらも、目と目で会話ができる上、ここ最近は似た仕草をする2人。共に生活をしていると癖は似るのであろうか。

  一頻り首を傾げた後、武道はタタタッと音が鳴るように鶴蝶へと駆け寄った。

  「カクちゃ」

  「あぁタケミチ、ごめんな」

  驚いたよな、すまん……と汚れていない手で武道の頭をくしゃりと撫でる。撫でている手に無意識で擦り寄り、パタパタと尻尾が揺れる。ふと目線を上げると鶴蝶は未だ困り顔だった。

  「?」

  「ん? あぁ、料理で使う牛乳を切らしててな。途中まで作ってるからどうしたもんかと思って……」

  「……いく!」

  「え!」

  「ハァ!?」

  鶴蝶が驚く声と共に、静観していたイザナも瞳孔開いた目で立ち上がり2人の元に駆け寄った。

  武道はここ最近、ずっと抱き上げられての移動しかしていない。いい加減世界線を飛ぶのは諦めたとしても、歩く練習はしなければと考え、気軽に行くと発言したことを少し後悔していた。何せ2人してこんな黒いオーラを出されるとは思っていなかったので。

  碌な食生活を施設でさせて貰えていなかったと思われる武道は未だちびのまま。年齢差もあるから当然身長差もエグい。

  そのため黒いオーラを出しながら見下されるのは、結果として武道の耳も伏せられるし尻尾も足の間に入るというもんだ。

  イザナと鶴蝶は悩んでいた。黒幕も締め上げ誘拐されるリスクは減ったものの、この可愛さを外に出す? でも1人でやりたい気持ちもわからなくない。こんなキラキラした眼のタケミチに断りを入れなきゃいけないのか……! とお互いに自問自答。

  考え抜いた結果、やはり危ないからと武道に却下を言わなければいけないが、言った方は嫌われるリスクがあるため目線で会話する。

  下僕、お前言え。オレには無理だイザナ……! この間、実にたった数秒である。

  ある意味膠着状態になっていたが、その空気を壊すようにピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。

  オレ、出てくるな! とそそくさとその場から退避する鶴蝶。

  逃げやがったな下僕……と後から武道の死角で蹴ることを心に決め、未だにぷるぷる震える武道との対峙が解けないまま数分。

  「大将とタケミチ何やってんの? カバディ?」

  割って入ってきたのは灰谷蘭であった。蘭の後ろからひょっこり竜胆も覗き込んでいる。カオスになる気配を察知。

  「行かせればいいじゃん」

  武道は竜胆にその場から離されて遊んでもらっているため、3人でさっきまでの経緯を話したところアッサリとそう言った蘭。

  イザナと鶴蝶の眉間に皺皺がよった。簡単に言いやがると口には出していないがそう思っていることが見てとれる。

  「行かせるけど、ほんとに1人にするわけねぇじゃん。タケミチなんて1人にしたら即誘拐されそ〜だし」

  「……見知らぬヤツについて行かないか心配だ」

  「それはねぇんじゃね? タケミチ、案外オレら身内以外は人見知りするぜ?」

  「蘭、さっさと結論を言え」

  まどろっこしいのは嫌いだと会話をぶった切る。蘭はやれやれと大袈裟なジェスチャーをすると、イザナと鶴蝶に向かってポーズを取った。

  「タケミチを先に行かせて、オレらは尾行するに決まってるっしょ」

  オレってば名案〜なんて言いながらいちいちポーズを取る蘭にイラッとしたのは言うまでもない。いつもこれに付き合う竜胆を何か労ってやろうと思うくらいには。

  こうして蘭の発言の後押しもあり、武道1人でのおつかいが決定した。

  「じゃあタケミチ、もう1回言うぞ。財布は首から下げられているがま口の中、買い物メモも同様な。一緒に行ったことあるスーパーは覚えているな? 知らないヤツにはついて行かねェと約束しろ。それと……」

  「鶴蝶ながーい」

  蘭の提案に乗ることにしたが、鶴蝶は料理の続きがあるので泣く泣くイザナと灰谷兄弟に託す。そのため説明が長くなっているので蘭が会話をぶった切った。

  武道はやっと1人で歩けて、しかも買い物まで行かせてもらえるからか目をキラキラさせている。その姿はとても可愛い。

  最近辿々しいが喋れるようになったのもあり、手伝いも積極的にやろうとしている。

  キラキラした眼で手伝うと言ってきて、小さい身体で一生懸命手伝いをする。

  手伝いが終わって一頻り褒めてやるとまだ他にないかと聞いてくる。そんな健気な姿、可愛いという言葉以外あるまい。

  だが、一緒にやるのと1人でやるのは大きな違いがある。鶴蝶は不安でしかなかった。自分自身の目で見られないというのも大きい。

  「だがな、蘭……」

  「はいはい。鶴蝶は料理の続き、タケミチは出発しろ〜?」

  仕切り屋の蘭がアレコレと決め、武道は笑顔で手を大きく振りながら玄関から出ていった。

  武道にそれぞれ笑顔で手を振ってたが、扉が閉まり武道が見えなくなるとそれぞれ真剣そうなキリッとした顔になりすぐに出かける用意をする。

  「鶴蝶、留守番しっかりな」

  「オレらに任せろ〜」

  「……携帯で逐一報告してやるよ」

  イザナと蘭はスタスタと武道同様に玄関から出て行き、今まで黙って成り行きを見守っていた竜胆は流石に可哀想に思ったのか、連絡は入れてやると一言告げた後、やはり2人と同様に出ていった。

  誰も代わると言わない辺り、慈悲は武道に与えるくらいしかないらしい。

  [newpage]

  10.テーマパーク

  「オイ、用意できたか?」

  「あぁ」

  「あい!」

  朝一、いつものように鶴蝶に着替えさせられた武道は、元気よくイザナに返事をする。

  イザナも鶴蝶もスーツではなく私服なあたり、どうやら今日は仕事ではなく何処かに出かけるようだ。傍らに大きめな鞄もあるため、もしかしたら泊まりなのかもしれない。

  「……はぁ」

  しかしイザナは複雑そうに、且つ憂鬱そうな溜息を盛大に吐いている。

  「イザナく?」

  「行きたくねェ……」

  「だがイザナ、もうチケットもホテルも取ってる。行かないと色々うるさいと思うぞ?」

  「……ハァ。行くか」

  (そんな憂鬱になるほど行きたくないとこに行くってコト!?)

  武道が目を白黒させている間にイザナに抱き上げられ、鶴蝶が運転する車に乗り込んだ。どんなところに連れて行かれるのか戦慄していると、窓の外は見慣れた風景が見え始める。

  (アレ? この風景って……)

  車を駐車場に停め、武道は抱き上げられたまま目的地に向かう。

  (あ! やっぱりこの景色!)

  武道が連れてこられたのは佐野家だった。鶴蝶がチャイムを鳴らすと嬉しそうに出てきたのはエマだった。

  「エマちゃ!」

  「いらっしゃい! まだ準備できてないから入って待ってて!」

  タケミっち久しぶり〜とぷにぷにと頬を両手で触られる。どうりで今日の服が三ツ谷が作った服ではなく、エマとヒナが選んだ服だと納得した。

  佐野家の居間で待たせてもらうことにすると、佐野万作が新聞を読んで座っていた。

  「よぉジジィ」

  「じぃじ!」

  「お邪魔してます」

  「うん、今日と明日は楽しんでこい」

  どうやら万作もこの後どこに行くのかわかっているらしい。武道は交互に顔を見ると、どうやら疑問を浮かべていることにやっと気がついたらしい。

  「そういやタケミチに今日何処行くか言ったか?」

  「イザナが言ったんじゃないか?」

  「……言ってねェな」

  「ないないよ?」

  「……」

  どうやら珍しく、お互いが伝えているもんだとばかり思っていたらしい。

  「……ま、そしたら今言わずに着いたらの楽しみにするか」

  「たのしみ?」

  「そうだな、悪いとこじゃないぞタケミチ」

  「……面子が騒がしいのが難点だがな」

  どうやら万作を除く、佐野家の面々と何処かに出かけるというとこまではわかった。一体何処に行くのだろうか? 動きやすい格好だしチケットと言っていたから、また水族館だろうかとワクワクする。

  途端に楽しそうに目をキラキラさせ、尻尾をパタパタと振る姿は愛らしく、イザナからわしゃわしゃと撫でられた。

  最終的に仰向けにひっくり返され、撫でられてきゃらきゃらと笑っていると佐野家の支度が終わったらしい。

  「お、楽しそうだなぁ」

  今日はよろしくな〜と真一郎も撫でるのに加わる。イザナはジトリと真一郎を見つめ、観察をしていた。

  「今日は煙草吸ってないな?」

  「タケミチと会うってわかってるから我慢してるさ」

  「吸ったら置いてくからな」

  「わかってる……オレも拒否られるのは心が痛ェ」

  実は真一郎、初めて会った時が最悪すぎた。印象ではなく環境が悪かったともいう。

  獣人は人間に比べて五感が鋭い。そのため人間があまり感じなくても獣人は……というのがある。

  良い匂いであったり不快でない匂いはキツくなければそこまで気にしなくてもいいのだが、問題は不快な臭い……身近な臭いだとバイクのオイルや煙草が特に武道は苦手なのがわかった。武道本人はバイク好きなのにあの臭いに耐えられないことに嘆いた。

  真一郎は初対面時、自身の店で武道と会うつもりだったがその時の格好がオイルの臭いが染みついたつなぎ。煙草も吸っていたため不快な臭いが混ざり、武道は気分が悪くなり大変な目にあっている。

  あからさまに顔色は悪く、小さくきゅーんきゅーんとしか鳴けない武道に、イザナは生きた心地がしなかった。もしかしたらこのまま……なんて最悪な展開が頭を過ったのもある。

  対面は当然延期になりそのまま医者の元へ、後日仕切り直しになったくらいだ。

  それからは一層、不快な臭いに関して敏感になった。以前から武道に会う際は匂いがキツイものは禁止。また会う前に必ず臭いを断つように周知していたが、あまりに酷いと体調を悪くした今回のことがあり、必ずシャワーなどで匂いを落としてから会いに来いというのを徹底した。

  それが守れないものはイザナは会わせないつもりだったが、皆武道に会いたいためそこは必ず守ったのはある意味面白い。

  「ほらマイキー!」

  「わかってるって……よっ、タケミっち!」

  「マイキく!」

  「今日は楽しもうな〜」

  ガシガシと乱暴なように見えるが、案外力加減はできている。イザナは武道の髪型が崩れるのに不満気だ……いや、ただマイキーが撫でているのが気に食わないのかもしれない。

  マイキーが撫でるのを無理やり止めて、武道を抱き上げる。

  「オラ、準備できたなら行くぞ」

  「なんだよイザナ、タケミっち撫でてる途中だってのに!」

  「んなもん待ってたら日が暮れるワ」

  武道の髪の毛を直しながら玄関へと向かうイザナにマイキーが絡む。その後ろにエマと鶴蝶が続き、万作に挨拶をして真一郎が続いた。1日は始まったばかりだ。

  (どうりで今日は少しデカめな車なワケだ)

  武道は車に揺られながら窓の外をジッと見つめている。高速道路に乗っているので向かうのは県外かと予想はできた。

  車の中はイザナとマイキーの声が騒がしく時折エマの叱咤が飛び、運転をしている鶴蝶と助手席に座っている真一郎は慣れているのか穏やかに会話をしている。

  (平和だなぁ……)

  朝起きた時間も早かったため、うとうとと眠気に襲われる。

  「眠いか?」

  「んー……」

  「まだ少しかかるから寝とけ」

  ぽんぽんと優しいイザナの手に、ゆるりと夢の世界へと落ちていった。