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「…ん…。ぅ…?寝てた…のか…?…~~っ!?」
意識が戻った瞬間、下腹部に張り付く…ぐっしょりとした
感触に俺は肩を落とす。今日で何日目だよ…くそ…っ…!
「…俺は…本当に…どうしちまったんだ…。」
最初のうちは…急にトイレが近くなったなって、くらいに
しか思っていなかったんだが…朝起きると下着を濡らして
しまうことが続き…徐々に下着だけでは収まらずにズボン
シーツまで濡らしはじめて…昨日は遂に盛大にやらかして
ベッドのマットレスまで濡らしてしまった。それも結構な
被害を出してしまう…。…寝る度にひどくなる寝小便…。
睡眠という生物として必要な行為なのに…俺はだんだんと
寝てしまえば無意識のうちに垂れ流してしまうこの状況が
怖くなり…睡眠を満足に取れなくなっていた。なんとか
しないと、と思い今日はリビングのソファーで眠らない
よう頑張ってみたがうたた寝しただけで下着もズボンも…
小便で濡らしてしまった。ヒーローって言ったって不眠で
過ごせるわけじゃない、だが…寝落ちした瞬間に漏らして
たんじゃ流石に格好が付かない。それどころか…日中は
睡眠不足に悩まされることになり…そんな日中でさえも
頻繁にトイレに行かないと間に合わずに下着を汚して
しまう始末だ…。
日を重ねるごとに失敗が多くなってきて…今じゃこんな
状態だ…こんなに酷くなるなんて…。俺がどんなに気を
付けていても、水分を摂らないようにしても関係なく
漏れ出てしまう。どうして…こんなことになったんだ…?
とりあえずなんとかしないとまずい。ヒーローとしての
仕事にも影響してしまう…ハピネスの様子を見に行くのも
ディアスの調査も…それにそれだけが俺の仕事じゃない。
他にも抱えてる案件がたくさんあるっていうのに…。
俺は汚れた衣類を洗濯機に突っ込みため息をついた。
「こんなに寝小便しちまって…どうすんだよ…。
明日からはアクセルも帰ってくるってのに…。」
アクセルに急な出張が入った為、ここ数日は家の中で
どんなに失敗しようが誰かに見られる心配がなかった。
だが明日になればアクセルが帰ってくる…こんな失敗を
繰り返してたんじゃ誤魔化しきれずに見つかってしまう。
「こんなこと誰にも相談出来ねえじゃねえか…。」
今まで生きてきて縁がなかった悩みだけに解決策が簡単に
見つからない…まさか、この歳でこんな悩み事を抱える
ことになるとは…。結局…現状を打破できるだけの考えを
思い付くことがないまま仕事に出ることになった。
[newpage]
午前中にハピネスのところに行き、午後からは本部で他の
案件に取り掛かる。最近はそんな感じで行動していた。
今日もまずハピネスのところに向かうのだが…再会して
もう6日目だ。約束の期限は明日に迫っている。だが…
会うたびにハピネスの容体は悪くなっているように思う。
それにハピネスのやつ…会う度に何か言いたそうにしてる
のに結局、口には出さないんだよな。一体…なんなんだ?
ディアスの家に着き、玄関のチャイムを鳴らす。…ここに
来るまで3回もトイレに行った。くそっ…俺もハピネスの
ことばかり言えねえじゃねえか…。程なく家主からドアが
開かれて今日もまた気持ちの良い挨拶を受ける。
「ジャスティス君。おはようございます。」
「ああ、おはよう。ディアス。」
普段通りのやりとり…そう思っていたのだが。
「あ、すみません。ジャスティス君。今から急ぎの用事が
あって家を空けないといけなくて…お構いできずに…。」
「大丈夫だ。ハピネスに会ってから失礼するよ。いつも
手厚すぎるくらいもてなしてもらってすまない…。」
「いえいえ。それじゃあ出掛けてきますね。」
俺はディアスを見送ってから家に入る。早速ハピネスに
会いに行く…。…前にトイレを借りることにした…。
人の家のトイレを借り慣れてる状況ってどうなんだよ…。
俺はハピネスの居る部屋のドアをノックしながらそんな
ことを考えていた。
「ハピネス?入っていいか?」
一応配慮をな。いつだったかは慌ててたしな。許可を取って
から入室するか…。まったく、何を隠しているんだか…。
「…ジャスティスか?…大丈夫だ。」
元気は無さそうだが返事はあった。入室するとベッドに
横たわったハピネスがいる。普段はディアスが手を貸して
くれるのだが、今日は俺が手を貸してベッドの枕元を背に
座らせてやった。
「何日もすまないな…。」
「まあ、約束だからな。…明日だぞ?待ってもいいが…
全然良くなっているように見えない…。もし、お前が
いいんなら今日にでも本部に連れて帰るんだが…。」
「…悪いが…待ってほしい。」
またこの回答か…。しかし、どうしたものか…俺自身の
不調もあるのだがこの件の調査は正直行き詰っている。
本当に行方不明者に関する情報が一つも出てこない…
ここで1週間調査を行ってはみたが、これ以上の進展も
それにハピネスの体調の回復も見込めないなら本部に
報告を行い…そしてディアスの家じゃなくて別の場所の
調査をはじめた方が良いんじゃないか…?
「…わかった。明日までは待つ。だがな…その時は事の
顛末をすべて聞かせてもらう。…覚悟を決めとけよ。」
今日はもう話すこともない…俺はそう言い残して部屋を
出ることにした。この時は思うように進まない調査と
体調不良のせいで正直イライラしていたんだと思う…。
だから…部屋に残されたハピネスが思いつめた表情を
していたことに俺は気付かなかったんだ…。
[newpage]
ディアスの家を出て駅前まで戻ってきた。今日も収穫の
ないまま引き返すことになりそうだ…。…その時だった。
「…~~っ!?…くっ…また…かよ…!?」
俺は尿意に襲われてトイレに駆け込む。駅前は日中なら
使用できるトイレが多いので簡単に借りることは出来るの
だが…。本当になんなんだよ…っ…!事件のことも大切
だが俺自身の問題も解決しないと仕事にならない…。
用を足し終わり俺はトイレを出る。日中頻繁にトイレに
行かずに済み…寝小便を気にせず睡眠をとる方法…そんな
都合の良い手段があるのか…?頭を巡らせていると…ある
店のポスターが目に入った。薬局に張られたポスターは
幼児向け紙オムツの広告だったが…。
(…いやいやっ!?ダメだろう!?流石に…これに…
頼るわけには…っ…!お、俺は…大人で…ヒーロー
なんだぞ…っ?…冷静になるんだ…っ!)
しかし、せっかく見つけた希望の糸は手放しがたく…
なかなかその場を離れることが出来なかった。
(ほ、他に…何かあるはずだ…こんな…オムツを穿いて
活動するヒーローなんかいる訳ないだろう…っ!)
「あれっ?ジャスティス君じゃないですか。」
後方から掛けられた声に俺は飛び上がった。おそるおそる
振り返ると、そこにはディアスの姿があった…。
「もうお帰りだったんですね。…どうかしましたか?」
み、見られてたよな…っ!?こんな広告ガン見してて…
なんて言い訳したらいいんだよ…っ!
「いやっ…そのっ…あっ…!し、知り合いがな…っ…
寝小便が止まんなくて困ってるって聞いてさっ…!」
オムツの広告を見ていた自分を誤魔化す為…咄嗟に
そんなことを口走った。我ながら苦しい言い訳だな…。
「おねしょですか…それは大変ですね。なるほど、それで
この広告…オムツですか。そんな相談もあるんですね。」
そんな言い訳を疑いもせずに話を聞いてくれる…ディアス
今日もまた…なんて好青年ぶりだろうか…。
「そ、そうなんだ…っ…他に手段があればいいんだが…。」
それに引き換え俺は言い訳し続けている。情けないぞ…。
だが、こんな事態…誰かに知られる訳にはいかない…。
「ちなみに何歳くらいの方なんです?」
「お、俺より10…は離れてないくらいか、20そこいら
だと思う…っ…。(あ、アクセルっ…すまねぇ…!)」
「緊急だったら、とりあえずオムツですかね。何が原因か
わからないですけど…ストレスとかでもそういう事が
引き金で症状に出てしまう人がいるらしいですよ。」
ストレスでそんなことが?何か…そんなことあったか…?
ここ最近の状況はストレスかもしれないが…少なくとも
その前は何もなかったと思うんだが…。
「意識をしてないだけで結構ストレスを抱えてる人が
いるらしいですからね。油断できませんよね。」
「そ、そうか…。」
「あっ、あと…大事なことがあって。大人でそういう…
おねしょみたいな失敗しちゃうと自信を喪失しちゃう
っていうか…励ましてあげることが大事なんです。」
確かにネガティブな気持ちにはなるかもしれないな…。
「疲れてれば誰でも失敗するんだよ。とか。きっと治る
から焦らなくて良いよ。とか…。みんなが当たり前に
出来ることを出来ないなんて思わなくていいよって。」
ディアスに直接ではないものの、それとなく励まされて
俺は顔を赤くしてしまう。
「以前お世話をしてた人が居て、少し知ってるんですよ。
良かったらオムツ選ぶの手伝いましょうか?」
「い、いや…そこまで手伝ってもらうのは悪いから…。」
「ぼくは大丈夫ですよ。その知り合いの方も大変な思いを
されてると思いますので、ぼくで力になれるなら…。」
は、話の内容的には俺のじゃないし…バレないよな…?
「それにオムツって結構種類がありますし…それぞれ
用途も違うんですよ。知らない人には難しいかも…。」
や、役に立たないやつを買っても意味がないしな…って
まだ買うって決めた訳じゃないだろ…俺…っ…!?だが…
ま、まあ…後学の為に知っておくのも…大事…だろ…?
「そ、それじゃあ…意見だけでも聞かせてくれるか…?」
「ええ、喜んで協力しますよ。早くその方の悩みが
解決するといいですね。」
罪悪感があったが…いままで相談出来なかったことに
ついて話を聞いてもらった上に力になってくれるという
状況に…俺はディアスが差し伸べた手を取ってしまう。
そして俺はディアスと並んで薬局に入ることにした。
昨今の薬局は薬や生理用品だけじゃなくて日用品や飲食物
…雑貨まで置いてあるんだな。これまで薬局の世話になる
ことなんてほとんどなかったから知らなかったな…。
「あ、ジャスティス君。こっちにありますよ。えっと…
その方の体格ってどんな感じですかね?」
「せ、背丈は俺と同じか…ちょっと低い位かな…体重も
そこまで変わらないくらい…だと…思う…。」
後ろめたさももあって我ながら歯切れが悪い発言だ…。
「なるほど…そしたらサイズはLかな…?でもLLくらい
あったほうが余裕があるかもですね。小さくて入らない
のも困りますし締め付けられるのも着心地が…。」
俺のことを疑いもせずにディアスは真剣に商品を説明して
くれる。最近では珍しいくらい本当に…良い奴だよな…。
「日中の問題じゃなくて、おねしょの心配でしたかね?」
「い、いや…っ!…そ、その…日中も…たまに…な…。」
そんなディアスが相手だからか俺も…どもりながら…では
あるが、つい…正直に自分の状況を話してしまう。
「なるほど…そしたら日中はこのパンツタイプのオムツが
良いですよ。穿きやすいですし、日中は失敗しても…
そんなにいっぱい漏らしたりはしないはずなので…。」
(て、的確だ…っ!ディアス…本当に詳しいんだな…。)
「そして…夜はこっちですね。多分私たちくらいの大人の
体格だと、おねしょの量がかなり多いはずです。パンツ
タイプでは吸収出来ずに漏れ出てしまうので…。」
そう言うとディアスはパンツタイプとは違うオムツを手に
取り…な、なんだ…っ!?その可愛らしいデザインは!?
「テープタイプの紙オムツですかね。こっちはちゃんと
装着してれば朝まで安心ですよ。おしっこ5回分も
吸収してくれますからね。大体の方ならこれで…。」
「そ、そうか…でも…そのデザイン大人が穿くには…。」
「そうですか?可愛くていいじゃないですか。なんでも
幼児向けデザインにすることで購入時に大人用だって
分かりにくくする為の配慮らしいですよ。」
いや、買う時はいいかもだが穿くときはどうなるんだよ。
そんな…いかにも幼児向けデザインのやつ…万一穿いてる
ところ見られようもんなら…。
「それにこのメーカーの商品、性能も価格も優秀なので
…こっちのメーカーは可愛いイラストも付いてないし
吸収の回数が4回のわりに値段は高いんですよ。」
や、安くて性能がいいのにデザインが…そのイラストさえ
なければ完ぺきなのに、それ完全にいらない配慮だろ…。
「あと、それでも心配ならオムツ併用で尿とりパッドを
使うとか、給水シートを敷いて寝るとかですかね。」
俺が知らなかっただけで、こういう商品ってこんなにも
充実してるんだな…。すごく勉強になったぜ…。
「ディアス、ありがとう。とても参考になった…。」
「いえいえ、少しでも力になれたらなら…ぼくも嬉しい
ですよ。…買っていかなくて良かったですか?」
「~~っ!?あ、いや…っ!ほ、本人と、相談してっ…
こ、購入は…検討させてもらう…ことにするよ…。」
「そうですね。ぼくたちは寄り添うことは出来ても当事者
ではない以上想像しか出来ないですから…大変だとは
思いますがその方の悩みが早く解決するといいですね。」
ますます俺自身が当事者だなんて言いだせない雰囲気に…
いや…俺が最初に嘘を付いたのがいけなかったんだが…。
「す、すまなかったな。ディアスも忙しいのに…時間を
割いてもらって助かった。ありがとうな…。」
「そんな、気にしないで下さい。ぼくの用事もさっき
終わったので大丈夫ですよ。…それじゃあ、そろそろ
失礼しましょうかね。明日も家に来られます?」
「ああ、その予定だ。その件も毎日ですまないな…。」
「大丈夫ですよ。ハピネス君もはやく体調が良く
なるといいんですけどね…。」
「そうだな…。それじゃあ、また明日に。」
「ええ、お待ちしてますよ。」
そう言ってディアスと別れ、俺は帰路に着く…ように
みせてディアスが立ち去るのを待ち、再びオムツ売り場へ
戻ってきた。改めて商品を眺める…。
(どうするんだ…っ!?俺…っ?!早ければ今日の夜には
アクセルが帰ってくるし…もう寝小便は出来ないぞっ!
なんとかこれに頼らないで良い方法はないのかっ!?)
…それからしばらくオムツとにらめっこしたが結局良い
代替案は浮かんでこずに…俺はオムツを手に取る…。
(ほ、本当に…いいのかっ!?だがっ…他に解決策が…。)
日を重ねるごとに悪化する寝小便…ベッドを濡らした際は
後片付けで地獄を見た、そして何より自分を慕ってくれる
後輩にそんな姿を見せるわけにはいかない…。
(た、体調が戻るまでの話だっ…!ずっと…穿き続ける
わけじゃない…っ!だから…し、仕方ない…だろ…?)
俺はそう自分に言い聞かせて手に取ったオムツをレジに
持っていく、だ、誰かに会っても自分のだと言わなければ
バレないだろう…?そう思ってはいるものの…知り合いに
見られていないかが気になってかなり挙動不審な動きを
していた…。なんとか無事にレジで会計を済ませて店を
出る。手には生理用品特有の巨大な黒いレジ袋を2つ…
結局パンツタイプとテープタイプを買った…。オムツを
買うだけで精神的なダメージが大きく…俺は家までの道を
フラフラしながら帰る…。お、俺は開けてはいけない扉を
開いてしまったんじゃないだろうか…?
そんな弱り切ったメンタルでの家路だったが、そこでも
尿意は待ってくれず…。2回ほどトイレを借りてようやく
家に辿りついた。…アクセルが帰ってきてないことを確認
してから俺の部屋のクローゼットに見つからないように
オムツを押し込む。ひとまずこれで一安心だが…。
「…こんなんで…俺…大丈夫なのか…?」
いつまで続くかわからない自身の体調不良と…その為に
周囲を誤魔化し続ける日々を思って俺は途方に暮れた…。
[newpage]
そしてついに俺は…寝る前にオムツを穿くことにした…。
アクセルからは深夜のうちには帰れそうだと連絡があり…
それはつまり…絶対に寝小便が出来ない状況に置かれる
ことになったということで…。しかし、そこからが問題
だったんだ。ディアスが教えてくれた寝る時に穿くテープ
オムツは…自分で穿くには難易度が高いものだった…。
パッケージにある図を参考にしてみるが…。
「…な、なんだよこれ…っ!?こんなん初見で穿けるやつ
なんか存在するのかっ…?…難しすぎ…だろ…。」
説明にきちんと装着しないと十分に効果が発揮できない
場合がありますと書いてあるのもあって…何度も確認して
たら10分といわないくらいの時間が掛かってしまった。
ようやくオムツを穿きおわり…再びクローゼットの中に
…絶対にアクセルには見つからないように押し込んだ。
クローゼットの戸を閉め、顔を上げると正面の壁に設置
していた鏡に自分の姿が映り込んだのだが…。
「…こんな格好で…俺は…何やってんだろうな…。」
…壁に掛けてある鏡はヒーローに成りたてだったの頃に
人の目に触れることも多い「ヒーローの自分」を誰から
見られても恥ずかしくないように…実績がまだなかった
当時せめて見た目だけでも格好悪くないように毎朝確認
する為に用意したんだ…。…それがこんな…オムツ姿を
見る羽目になるとは思わなかった…。だが、まだ誰かに
この姿を晒したわけじゃない、この体調不良さえ治れば
…すべて元に戻るはずだ…。…だから、この情けない姿を
誰かに見せることがないように今は我慢するしかない…。
「せめて無地のやつにすれば良かったか…?オムツなら
何を選んでも変わらないと思っていたが…幼児向けの
デザインのやつは…やめておけば良かった…。」
性能やら価格やらを重視した結果とはいえ…自身の選択を
後悔せざるを得ない…。これを破棄して買い直すことも
考えたが…勿体ないし、何より再びオムツを持ってレジに
並ぶところを想像し…挫折した…。
(み、見られなきゃ…何を穿いても…一緒だろ…っ!
こんなこと気にしてどうするんだ…しっかりしろよ!)
オムツの上にズボンを穿く…誰もズボンの下にオムツを
穿いてるなんて思わないんだから…大丈夫だろ…?
無理やりそう自分に言い聞かせることにした…。
「ふ…ぁ…。…最近ろくに眠れてなかったからな…早めに
今日は早めに寝よう…。朝早く起きればアクセルに
起こされる前に確認して着替えることも出来るし…。」
ディアスが太鼓判を押してくれたとはいえ…性能を発揮
出来るか本番で試すのは流石に怖い。保険を掛けておく
ほうが良いだろう…。明日に向けて最低限の準備をして
ベッドに入ると…すぐに睡魔がやってきて…この日は…
すぐに…眠りについた…。
[newpage]
「先輩っ!…朝ですよっ、起きてください…っ!」
ん…う…っ?…アクセルは今日も元気だな…。さて…
俺もそろそろ起き…て…っ…~~っ!?しまったっ?!
寝過ごしちまった…オムツは…どうなって…!?
「あ、アクセルっ!?…~~っ!?」
下腹部に濡れた感触がある…っ!…ば、バレ…っ!?
「は、はい?アクセルですけど…。」
「そ、そうだな。アクセルだ…おはよう…。」
き、気付かれてはいないようだ…良かった…。
「…?もうすぐ朝ごはんが出来ますからね。」
「あ、ああ…いつもすまない…。」
…ちゃんとしないとな…変に思われちまう…。
「あの…師匠?何かありましたか?」
「~~っ?!い、いや…何もっ…!何もないぞっ?!」
「そう…?ですか。…ご飯冷めちゃうんで…。」
「そ、そうだなっ!準備してすぐに行く!」
ダメだ…自然にって思うほどに変な態度になっちまう…。
「先に行ってますね。後で時間いいですか?
出張の内容で報告したいことがあって…。」
「あ、ああ…わかった…。」
アクセルが部屋を出ていく。とりあえず俺の尊厳を脅かす
危機は去った…思わず俺は胸を撫でおろす。
「心臓に悪い…。結局、ぶっつけ本番になっちまった…
一昨日まで満足に寝れてなかったからか…?早く寝たん
だがな…。しかし…本当に…大丈夫だったのか…?」
俺はおそるおそるズボンを触る…良かった…濡れていない。
苦労してオムツを穿いた甲斐があったというものだ…。
ただ、それでも寝小便をしたことに変わりない…ズボンを
脱いでオムツを確認すると、ぐっしょりと濡れて膨らんだ
オムツがそこにあった…。
「熟睡だったとはいえ…こんなに漏らしてたのか…?
~~っ!?や、やばい…小便…っ!?…嘘だろっ!?」
急に襲ってきた尿意を必死に堪えるが寝起きの身体の
せいか我慢が利かなくて…既に寝小便で膨らませていた
オムツを更に濡らしてしまうことになった…。
「くっ…あ…っ!?あ、溢れちま…っ…~~っ!?」
尿を排出する独特の音と俺の荒い呼吸が部屋に響いた。
「はぁ…っ!…ぐ…っなん…で…っ…がま…んっ…!?
でき…ね…ぇ…?…どう…しちまったん…だよ…。」
ディアスおすすめのオムツは高性能で追加の小便もすべて
吸収しきってくれて…ベッドに被害を出すことはなかったが
俺はますます悪化している自身の体調に落胆してしまう。
尿意が収まった後…ぐしょぐしょに濡れたそれをなんとか
処分し…パンツタイプのオムツを穿いて、アクセルの待つ
リビングへ向かう。今日もアクセルは既に食事を終え…
食器を片付けているところだった。
「師匠…なんか、体調悪いんですか?」
そうだよな…普段の俺はここまでだらしなくはない…
はずだ。ここ数年一緒に過ごしているアクセルから見れば
俺の様子がおかしいことに気付くはずだ…。
「ここ最近寝不足でな…悪い…。」
少し気まずくもあるが…先輩の威厳を損なうわけには
いかないからな…アクセルを失望させたくない…。
「…ハピネスを見つけた。」
嘘でない範囲で最近の成果を報告しておこう…。
「えっ!?行方不明だったハピネス先輩ですかっ!?」
「ああ…。まだ本部にも報告していない。今日中には
本部に本人を連れて行けるはずだ…。」
今日が約束の日だ…ハピネスの体調不良は間違いなく
改善していないだろう…今日こそ本部のメディカル
センターに連れて行かなければならない…。
「そうだったんですね…。でも流石、師匠ですね!
誰も着手しなかった事件を解決しちゃうなんてっ!」
アクセルはそう言うと…いつものようにキラキラ光る目で
俺を見つめて喜んでくれる…。…俺の意地の為とはいえ…
かなり罪悪感がある…。今の俺は…アクセルに…尊敬して
もらえるような存在には成り得ないのに…。
「訳あって一般人の所で保護されている…詳細について
今は話せないが…今夜には伝えられると思う…。」
「わかりましたっ!今日の夜を楽しみにしてますねっ!」
その後、アクセルの出張中の報告を受けたり…少し雑談を
してから…アクセルは本部へ、そして俺はハピネスの所へ
向かうことにした。
[newpage]
嘘を付いた訳じゃないが…どうにも今朝の出来事を考えて
しまう。ヒーローになってからの誠実な活動を積み重ねて
今の俺になっていったんじゃないか?その結果…アクセルの
ような後輩が俺を慕ってくれていたんじゃないか…それを
守る為に俺がこんな…不誠実なことをしていいはず
ないんじゃないか…?世間を…アクセルを失望させない
為と思って…いろいろなことを繕ってきたが…本当にこれで
良かったのだろうか?そんな思いが俺の中で渦巻く…。
ディアスの家への道中…俺は自問自答を繰り返しながら
向かっていたが…そんなことを考えている最中ですら…。
「…~~っ!?く…そっ…なんだよ…っ!また…っ!?」
急な尿意に何度も襲われ…うち1回は間に合わず少しだけ
オムツを汚してしまった。改善の見えない症状の悪化に
頭を抱えながら…ようやくディアスの家に辿りついた。
呼び鈴を鳴らすと…いつものように…?いや、なんだか
慌ただしいな…なんだ?ドタドタと足音が聞こえ玄関の
ドアが勢いよく開かれる。
「ジャスティス君っ?!ハピネス君がっ!」
慌てた様子のディアスに俺は驚き…すぐに身体が動く。
「入るぞ!何があったんだ!?」
俺はディアスの返事を待たずにハピネスがいる部屋に
向かって走り出した。一体どうしたんだ!?
ドアを勢いよく開いて部屋の中に向かって叫ぶ。
「ハピネス!!…?…ハピネス…?」
「ジャスティス?どうかしたのかい?」
俺の前には…以前通り、ヒーロースーツを身にまとい…
自信に満ち溢れた表情のハピネス・マークスの姿があった。
「ジャスティス君…早いですよ…流石、第一線で
活躍するヒーローですね…。」
程なく俺の後ろにディアスが追い付いて…。
「ハピネス君の容態が良くなったって言おうとしたら
ジャスティス君走って行っちゃうんだから…。」
容体が良くなっただと?…もちろん良くなるに越した
事は無いし喜ぶべきことだが…この1週間日を重ねる事に
体調が悪くなっていったというのに?昨日の今日で…?
「ジャスティス?私の体調が良くなった事を喜んで
くれないのかい?友達甲斐がない奴だな…。」
「い、いや…そういう訳では…。」
昨日とは別人じゃないか…だが、今…目の前にいるのは
本来のハピネスの姿だ。余裕のある笑み…そして余計な
皮肉を織り交ぜてくる話し方…。ベッドに臥せっていて
…あんなに落ち込んでいたハピネスが…まるで存在さえ
していなかったかのように…。…本当に…こんなことが
…あり得るのか?
「ハピネス君の体調が良くなって…良かったです。」
「ああ、ディアス。ありがとう。君が協力してくれた
おかげだ。やっと本来の体調に戻ることが出来たよ。」
目の前で繰り広げられる光景が信じられない…。
「お、おい…ハピネス…本当に大丈夫なのか…?」
「もちろん大丈夫だとも、ジャスティス。君にも感謝
している。ヒーローたるもの弱った姿を晒すべきでは
ない。本部への報告を待ってくれて助かったよ。」
「あ、ああ…回復したなら…いいんだ。ハピネス…
気にしないでくれ。そうか…本当に良かったな…。」
そう言いながらまだ信じ切れていない自分がいる…。
「本部への報告も自分で行うようにする。ジャスティス。
君も付いてきてくれるかい?なにか礼をしたいしな。」
「礼なんざ…別に…っ!?…~~っ!?く…っ…!?」
「ジャスティス?」
「わ、悪い…ちょっと…トイレに…~~っ!?すぐに戻る
…っ!ディアス…すまない…借り…て…っいい…かっ?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
俺はディアスの返答を聞くか聞かないかのところで…
トイレへ向かって進みはじめた。
(く…そっ…!小便っ…が…っ!こん…な…時でさえ…
なん…なんだ…よ…っ…?!)
俺はトイレのドアを開け中に駆け込むとズボンとオムツを
おろして用を足す…。朝からも…ここに来る道中でさえ…
あんなにいっぱい出したのに…また…こんなに…?
流石に自分の体調が異常なのではないかと疑いはじめる…
ハピネスが回復した今…メディカルセンターへ行かないと
いけないのは…俺自身じゃないのか?大量に出続ける尿と
汚れたオムツを見ながら…そんなことを考えていた…。
つづく
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