六
「行ってらっしゃい、気をつけて」
私がそう言うと、行ってくると深雪は元気に返事をして出発してしまった。
熊を追い払う手伝いをするために、深雪は村の外にある小屋へ行かなければならなかった。そこで場合によっては数日過ごすらしい。何事にも一生懸命な彼女を、私たちは見送った所だ。
休みはまだ余裕があるし、ただの手伝いなので限界が来たら途中で抜けてもかまわないだろうと話し合って決めた。親へ連絡がつけれなかったが、吉郎狸さんに住所を伝えたらなんとかしてくれると言ってくれたので、それを信じるしかない。
朝食が済んだ後、部屋でしばらく待っていると、私と深雪の二人が吉郎狸さんに呼ばれたのだった。佑都は私たちよりも先に別の所へ呼ばれていて、引き離される形になっていた。狸に呼ばれて会いに行くというのは、私には気が重かった。
吉郎狸さんが待っていた部屋は、板張りの道場……もしくはお堂の一室のような雰囲気のある場所だった。儀式に使われてそうだなというのが率直な感想だった。何かのにおいが残っているみたいで、お香が焚かれることもあるのかと思った。
吉郎狸さんが懐から小瓶を取り出し、私と深雪はその茶色い液体を飲んだ。食後の薬のようなものかと思っていたのだが、無味無臭でよく分からなかった。けど、飲みにくさがあり、美味しくもなかった。
飲み干すと吉郎狸さんが近くに来て、目の前で何かつぶやいていたけどはっきり聞き取れなかった。それからちょっと熱っぽくなって、吉郎狸さんが私たちを見ながらニヤニヤしていた。いじわるそうにニヤついて、私と深雪の様子を観察しているように見えたから、なんだか腹立たしくなったのだった。
しばらくして狸さんが深雪を見て、彼女に村の外へ手伝いに行くように言って、そこでその部屋から外に出たんだった。
何の薬かは教えてもらえなかったけど、とにかく必要なことらしかった。
深雪にお別れの手を振った時に気がついたのだが、指の関節辺りから黒い毛が生えていることに気がついた。体毛にしては柔らかいし、生え方がおかしい気がする。どうしたのかと見ていたけど、佑都に話しかけられてそっちを見た。
「俺は特になにも言われてないけどヨーコは?」
深雪が手伝いをしてる間、佑都は本当にすることがないので待機しておくように言われたらしい。後で何かしてもらうかもしれないらしいが……。
私も同じような感じなのだが、吉郎狸さんから相手をして欲しいと言われたことが気になっていた。狸のおじさんと話をするのは、あまり気が乗らない。佑都も一緒じゃだめなのだろうか?
「とりあえず、村の中でも見て回ろうぜ」
そういえば、まだちゃんと村の中を見て回ってないので、私もそうしたい気持ちがあった。なので散歩をしてみることにした。
「のどかだなー」
霧がなく山にガスがかかっていないので、遠くまで見渡すことが出来た。寝起きで窓から見た景色と同じで、未舗装の道路と、かやぶき屋根の道路、緑あふれる山となぜか懐かしい水田。まさにこれが日本の田舎というものを形にしたような村だ。
だけど、私はあることに気がついた。建物一つならともかく、今時電気がまったくと言っていいほど通っていない市町村などあるのだろうか? 自動車やバイクすら一台も見かけない。さすがに不便すぎるのではないかということだ。吉郎狸さんは電話のことを知っているみたいだし、何か変だ。
電線や電柱がなく、地下に埋められているわけでもないだろうから、村全体に電気が普及していないことになる。
それに、あんなに歓迎をしてくれた村の人たちを、ほとんど見かけないのだ。家の中で作業をしているようなのだが、外から見てみるとゆらゆらしたものが一瞬だけ見えて、人の姿は見えない。あまり人の家を覗くわけにもいかないし、通行人もいない。水田で作業をしている人だけは、まばらに見かけるのだが……歓迎の時とは違い、よそ者を拒んでいるような近づきにくい雰囲気があった。
よくよく思えば、ここへどう来たかもはっきりと分からないし、そもそもここがどこなのかすらよく分からない。何もかもが不明で遠くにあるようで、閉じ込められてしまった気分になった……あんなにもてなしてくれたのに、今はもう誰も話しかけてくれるどころか見かけることすらない。まるで村全体が閉ざされているようだった。
「帰るか」
もう結構な距離を歩いた。村は私たちが思うよりも広かったようだ。村の端までたどり着けなかった。
帰ろうとした時にふと指の爪の形が変形していることに気がついた。歪な形で動物の爪みたいになっているし、黒い毛がまた別の所からも生えているようだった。
「どうした?」
「なんでもないよ……」
平気なふりをしたけど、私は変だと気がついていた。嫌な気分だけど、彼に見られたくないので、気にしてないふりをしてごまかして、平常を装っていた。本当は怖くて不安だったのに……。
歩き疲れて屋敷へ帰り、温泉で一息つくことにした。それ以上に精神的にも疲れたのだが、それはしばらく癒せそうにない。まだ昼過ぎなのに、屋敷には誰もいなかった。誰かに見られていて、人がいる気配はあるのだか、誰にも会うことはない。不思議に思いながら私は温泉に浸かった。
温泉から上がりおしゃべりをしていたが、深雪が帰ってくることはなかった。ひょっとしたらと私と彼は考えていたのだが、村の外に泊まると聞いていたし、無事に終わって帰ってくるとしても一日では無理とも聞いていたので、まあそうだよなあと二人で納得するように話した。せっかくの佑都と二人きりだったけど、他のことが気になって、そういう気分にはなれなかった。
日が落ちて暗くなり、食事を取ってもなんとなく気まずさがあった。佑都と直接仲が良かったわけでないし、淋しさや不安な気持ちがあるのではしゃいだりも出来そうにない。
そんな状態だったのだが、佑都が言ってきたことが私を動揺させてしまう。
「お前そんなに毛深かったか? それにひどいクマができているぞ」
温泉に入ってからまた毛が生えたらしい。しかも浴衣を着ていても分かるほどだ。全身がムズかゆくなっていたのだが、まさか体中の体毛が濃くなっているのだろうか。それにクマが出来ているなんて知らなかった。どっちも言われるまでぜんぜん気がつかなかった。
おまけに、体重計があったので温泉から上がった時に量ってみると、体重が増加していた。今週計ったばかりで、その時より一気に増えていたからショックと同時に違和感を覚えた。体重ってこんなに急に増えるものなのかしらと。
「ヨーコ大丈夫か、寝れないのか?」
翌日には私のクマはだいぶひどくなっていたらしい。昨日も一昨日もぐっすり寝たはずなのに。
「まるでパンダみたいになってるぞ。それか吉郎さんだな」
彼には悪意はなく、茶化すつもりもないのだろうが、パンダはともかく吉郎狸さんと言われるのには傷ついた。あんな化け狸と比べられるなんて……。
今朝は食卓に私の嫌いなものが出たのだが、すんなりとたいらげることが出来て、ついご飯のお代わりまでしてしまったほど調子が良いのに、彼には体調が悪く見えるらしい。深雪はまだ帰ってこない。
次の日も深雪は帰ってこなかった。また毛深くなってしまったし、体重が増えてしまった気がする。胸まで大きくなっているのはうれしいけど、ショックなのは変わらない。食べ過ぎが原因だろうから、家に帰れば元に戻るだろうと気楽に考えていた。
手伝いは大変なのだろうか、その次の日もそのまた次の日も変化がなく、日にちだけが過ぎていき、あまり余裕がなくなってしまう。
それに村は見た目こそいいのだけど、とても退屈で、どこか不自然な所があって、早く帰りたいという思いが募るばかりだ。秘境とでもいうべきなのだろうが、のどかなはずなのに閉じている空間は、重苦しく息が詰まりそうになる。迷い込んだ所は本当は誰も歓迎していなくて、村へ来るのも出て行くのも拒んでいるんじゃないかと思えた。
そして、夜になると吉郎狸さんの相手をさせられるようになった。私だけ部屋に呼ばれるのだが、ただお茶をしながら話をするだけだった。一時間程度なの苦痛ではないし、内容も学校のことを話したり、村のことを聞かされたりで、特に嫌なことはない。だけど……出来るなら行きたくなかった。私の姿を見ると彼は喜ぶのである。会うたびに反応は大きくなっていき、楽しみにしてると言われるのだ。
何が楽しみなのだろう。だんだんと吉郎狸さんの目つきがエロ親父のようにいやらしくなっていくようで、気持ちの悪いものを感じてしまう。もう信楽焼の置物よりも気味が悪くて嫌いだ。
特にすることがないので、私は毎日温泉に入ってばかりいる。こんなに頻繁に長時間入っているのに、いつも貸しきり状態だった。私はそのことを不思議に思っていた。客人用の浴場なのかもしれないが、誰か入ってきてもおかしくないのに。
そして、今日もあの狸親父の所へ行かなければならないと思うと、いい加減うんざりだった。
嫌なことを考えるとへこんできたし、上がるのにはちょうどいい頃合だったので、私は湯船から出るとそのまま脱衣所へと向かった。
体を拭いて髪を乾かしてから体重計に乗る。また今日も体重が増えている……こんなペースで増え続けるのは異常なのではと、私はようやく不安になり始めた。ペタンコだった胸がすこし膨らんだのはうれしいが、お腹やお尻まで大きくなるのは困る。それに体も少し大きくなっているような気さえする。
この数日よく食べるようになったし、好みすら変化したようだった。佑都にもいじられるほどだが、食べるのをやめられない。食べ物に対して執着心が強くなったようだ。
変だなあなんて思いながら私は鏡を見た。食欲旺盛で元気なのに、疲れた顔をしている私の顔が映っている。疲れた顔の原因である目の下のクマは、だいぶ酷くなってしまっていて、広範囲になり色も濃くなっていた。
これじゃパンダや吉郎狸さんと言われてもしょうがないやと、目の下をこすってみる。予想していなかったスベスベした感触だったので、鏡にぐぐっと顔を近づけてみる。温泉のとは違ったスベスベは産毛のせいだったようだ。目の周りに黒い毛が生え始めている。気がついてしまったのだが、特に目の回りだけがというわけではなく、顔全体の産毛が濃くなっているらしかった。
顔だけじゃない、腕もすねもふとももも、産毛でスベスベサラサラだ、温泉の効能だと思っていたのに……手の先なんて黒い毛がしっかり生え始めているじゃないか、どうして私は気がつかなかったんだろう。
毎日少しずつ変化は起こってたんだ……クマではなく毛が生えていたなんて。こんな形をしていたかなあと、なんとなく尖っている耳の先のにも黒い毛が生えているし、全身の産毛が茶色く濃くなっている。体型だって太った太ったとのんきに構えていたけど、たるんだ体はまるでお母さんみたいだ。
やっと冷静になれたけど、どうしてこんなになるまでなんとも思わなかったんだろう? まさか料理が……それとも温泉が普通じゃなくて……と、私は全てが疑わしくなった。原因は絶対にここにあるはずだ。だってここはあの狸親父のお屋敷なんだから。
そう思った時に、私は薬を飲まされていたことを思い出した。体の異変に気がつかなかったどころか、直接の原因かもしれない。
吉郎狸さんに聞いてみよう。でも、一人じゃ怖いから佑都にもついて来てもらおうかな。
部屋に戻ると佑都がいた。窓際で暇そうに夕涼みをしているので、私は後ろから声をかける。
「佑都ちょっといい?」
「うん、なに……うおっ狸!?」
佑都は私の姿を見て驚いているみたいだ。手や腕の具合から、さっきよりも産毛が濃くなってしまった気もする。
「お前ずいぶんと毛深くなったなあ、それにまた太ったか? だんだんと狸みたいになってきてるぞ」
佑都に自分の嫌いな狸みたいと言われてしまい、私は傷ついた。自分でもそう思うから余計に悲しい。毎日一緒にいるから、彼もやっと少しずつの変化に気がついたのかもしれない。自分から言うつもりだったけど、一目であんなに驚かれてしまうのは、私にとって最悪の出来事だ。
考えれば今の太っている体なんて、好きな男の子に見られたくないと思うのが普通だ。そんなことまで気がつかなくなっていたなんて……いつのまに感覚が鈍く、ずれてしまったのだろう。
「うっ……うう、ぐすっ」私はいろいろな物が我慢できなくなって、涙が溢れてしまう。
「おい、大丈夫か? あっ俺のせいか? ごめん、悪口のつもりじゃなかったんだ。それに俺ぽっちゃりの方が好きだし」
デブな私なんて見られたくない、早く家に帰りたい。佑都は私が泣き出したのでうろたえている。
なのに、こんな時なのに、私は彼の好みを聞けたことで口がにやけそうになる。泣いてるのに、普段ならそんなことにはならないはずなのに。
怖い、自分が自分以外の者に入れ替えられていくような、気味の悪さに背筋が冷たくなる。早く寝てしまおう。
「私……ちょっと疲れちゃったかな。クマが酷いみたいだし、今日はもう寝るよ」
おやすみ、明りはつけないでねと言うと、彼はおやすみとしか返してこなかった。もう外も暗くなって来ている。寝るのには早いけど、真っ暗な部屋なら自分の体を意識しなくてもすむはずだ。吉郎狸さんの相手は今日は休ませてもらおう。話も明日聞こう。
私は隣の寝室に入り布団へ横になった。
とても暑苦しかった。ぼんやりとして夜中に起きたのか、まだ夢の中なのか分からなかった。
体が熱く、酷く喉が渇く。全身が毛布に包まれてる気分だった。
熱でも出たのかと思ったけど、股の間になにかフヨフヨしたものがあるせいで動く気になれなかった。
なぜか股間がビチャビチャに濡れているので、なおさら行動しないといけなかったのだが、佑都にまたおかしくなった体を見られたくないということもあり、寝ていたままだった。
それに体が重たい。やけにずっしりしている。お腹もお尻もまた大きくなった気がする。
その大きくなったお尻には余計な物がついている気がするし、耳の位置が変だ。
耳の癖によく動く。やけに音が聞こえるみたいだし、お尻の余計なものが尻尾みたいに動かせてしまう。嗅覚も鋭くなって自分の鼻先が暗闇の中で濡れて見える。
どこか現実ではない感じがしていたので、私は動物みたいだなと思いつつも他人事のようにとらえていた。
「うーん、おはよう……」
朝になり私はやけに重たい体を起こし、大きくあくびをした。佑都はもう起きてるようだった。
だけど、佑都は黙ったままで返事をしてくれない。彼を見ると、私を見て唖然として固まっている。そういえば、動物の鼻先がさっきから視界に入ってるなと、思いながら自分の体を見る……いつの間にか浴衣が脱げてしまったみたいで、全裸になってしまっていた。
裸なのが恥ずかしくて目を背けたかったのだが、私も自分の体に釘付けになってしまう。着ている物があった気でいたのは、全身が毛皮で包まれていたからだ。それにお腹はでっぷりとたるんでいて、中年のお腹みたいだ。
そして、一番目についてしまうのが、股にぶら下がっている袋だ。握りこぶし大の毛皮で出来た袋が股間に並んでいるのだ。
嘘だ、こんなのが私の体のはずがない。どうにか否定したいけど、まずはどうなっているのか見なければいけないのが辛い。
「まさかこれって……」
袋の上にかわいらしい突起がついている。それは七味の瓶ていどの大きさで、固くなっていた。これが勃起というものなのかと、ありえるはずがないことを理解してしまう。そう、小さくても明らかにそれは『立って』いる感覚なのだ。
気持ち悪い……かわいいサイズなのに元気になっているのが、不快で違和感があって腹立たしい。そして、それを佑都に思いっきり見られてしまっているのが、恥ずかしくて悔しくてしょうがない。だっていつのまにか彼よりも身長が高くなってさえいるのだから。
それでも私は落ち着いていた。もう見られてしまったので割りきろう。顔が見れないので、自分のバッグの中から手鏡を取だそうとした。とにかく全てを確認してみないと。
少し歩いただけでも自分のものとは思えない体がずしりと重く、体重がだいぶ増えてしまったことが分かる。お腹やお尻、胸まで揺れて、股間にないはずのものがあるせいで歩くと変な感じがする。
手鏡には狸になった自分の顔が映っていた――自分で言うのもなんだが、私の顔は地味だけどまあかわいいほうだと思う。その顔が狸になってしまっている。ただの動物の顔ではなく、私だと分かる面影はあるが、人間ではなくはっきりとした狸の顔だった。そう、自分が大嫌いな狸に……。
嫌だ、狸なんかになりたくない!
茶色い毛皮に全身が包まれ、ぽっこり出たお腹には白い毛皮が生えている。手足は黒い毛皮が生えていて、ふとももからムチムチしていてお尻は大きく、お腹は中年みたいに丸く出てしまっている。
尻尾は大きく太く、縞模様はない。耳も動物と同じ位置と形になっていて、目の周りのクマは完全に毛皮の模様になっていた。
そして股間には大きな金玉と、かわいらしい毛皮に包まれたチンチンがついている。
どこかで見たことある……そうだ信楽焼だ! 私は信楽焼の狸そっくりになっていた。顔はまだどこか私っぽいし、胸はボインと大きいので、もしメス狸がいたらきっとこうだというイメージにぴったりだった。大きな袋のついたアソコ以外は。
どうして、どうしてこんな酷い姿に。こんなのあんまりだよ……なんでよりによって狸なんかに。普段見かける度に嫌悪していた狸の置物そっくりで、いきなりの自己嫌悪に押し潰されそうだ。私が狸に……。
静かな朝だ。この村はいつもそうだが、今日は時間が止まっているかのようだった。本当にこのまま止まってしまえばいいのにと思う。
わずかな間だったけど、私たちは声も出せずにぽかんとして、なにも出来ないでいた。私は放心して、佑都はたぶん色々考えていたんだと思う。
すると、ちょうどいいタイミングでふすまが開いたのだった。
「おはようございます……おや、昨日は私の所を来ていただけなかったのでお伺したのですが……いやはや、どうされましたか?」
吉郎狸さんは表こそ平常を装っているが、狸面の下で笑っているに違いなかった。どこか嬉しそうで、言葉尻に陽気な感情が出てきている。この狸親父が私をこんな姿にしたのは疑いようがなかった。私を自分と同じ姿にしたのはこの狸に間違いない。そう思うと憎い気持ちでいっぱいになる。
「今日起きたらヨーコが狸になってて……」
そう言いながら佑都は私の股の辺りを見て目を逸らしたので、顔から火が出そうになったが、彼はその先を言わないでくれた。
「素晴らしい! あっ……いえ、お美しお嬢さんなのでつい……おや? どうしたことだ、マラがついているではないか!」彼は私の股を見て驚いている。
「わしはマラのついたおなごは好きではない」
吉郎狸さんはつい喜びが爆発したかと思えば、一転して不快げな態度になるなど、珍しく感情が表に出てきていた。
だが、私を見て素晴らしいと発言したことで、彼に対する疑惑は揺るぎないものへと変わり、ふつふつと怒りの感情が高まっていく。
初めて感じる、自分の心に渦巻くネチネチとした恨みがましい怒りだった。
「いかんな……いかん、いかん、どうして失敗した。まさかあれがメスだったのか……ふーむ、オスはいらんわい。もったいないことした……」吉郎狸さんはブツブツとわけの分からないことを言っている。
「おっとこれは失礼。しかし困りましたな……私にもどうしたらいいやらで」しらじらしい狸親父は知らないふりをしているけど、ここまで聞いたら誰でも彼が関係していると分かるだろう。
「私どうしてこんな姿に……元に戻れないんですか?」
恥ずかしさと嫌悪感で今すぐにも消えてしまいたい。私はとりあえず胸を手で隠そうとしたが、股間の立派な袋がどうしようもないので諦めた。
「分かりませんな。ただ、今のままだと性別が完全にオスになってしまうかもしれませんよ」ふてぶてしい態度で彼は私の股間をチラッと見て言った。
「えっどういうことですか! 私オス狸になぅちゃうんですか?」
「体が変わって、元々は無い物がついてますでしょ? つまりそれがなるべき本来の形というか……これからマラに引っ張られる形で体が変化するでしょう」
「そんな、私女の子ですよ!」
「ええ、人間には戻れるか分かりませんが……女性でいることは可能かもしれません」彼は粘着質な不気味さで話す。どこか笑っているようにも見えた。
「女性の部分……観音様があるでしょう? そこを使って刺激することでメスだと体に分からせてやれば、自然と体内のオスを取り除けるでしょう」
「つまりそれって」
「交尾ですな。女性器を使いメスになりきるのです。もちろん男性器を使えばオスとなるでしょうから、刺激してはなりませぬ」
交尾する? 狸にされたばかりか、まだファーストキスだってさえしていないのに?
だけど、交尾と聞いて私のアソコがジュッと濡れた。どうして……?
こんなことは初めてだった。交尾することに、なぜか喜びたくなってしまう。頭ではそんなことまったくなく、したいと思わないのに。
ここで自分の体に両方ついていることを理解した。私のアソコが濡れておつゆが垂れたみたいで、お尻の周りの毛皮を湿らせちゃって更に恥ずかしくなり、うつむきたくて隠れたくてしょうがなかった。
「そうですな……お連れさんに頼まれてはどうでしょう? 村の者でもかまいませんが、気心の知れた相手の方がよろしいでしょう」
吉郎狸さんはニヤリと笑う。とても下品な表情だった。[newpage]
七
まだ中学生なのにエッチしないといけないなんて。こんな子供をたくさん産んだおばさんみたいな体になって、大嫌いな狸にされたっていうのに……。
吉郎狸さんはニヤニヤしながら帰っていった。どう考えてもあの狸親父が原因なのに、なにも聞き出すことが出来ずはぐらかされてしまった。本当に元に戻れないのかな?
それにこのままじゃ男の人になっちゃうなんて信じられない。でも、こうして狸なんかにされて、小さなチンチンまでついているのだ。今私は茶色い毛皮と大きな金玉を持った生き物にされたのだから。
体が重たくてブヨブヨにたるんでいるのも嫌でしょうがない。巨乳になったのはいいけど重たくて肩がこるし、お腹のせいで重心が前にいってしまう。そして股の間にブラブラしているものがある。自分自身に対して吐き気がする。こんな体じゃなかったのに……。
なのに、せめて女の子のままでいるためにエッチしないといけないなんて……でも、それを考えると股の辺りがムズムズする。金玉の裏辺りだ。佑都とそういうことをするのは嬉しいけど、こんな姿では望んでいないはずなのに顔がほころびそうになる。
絶望と不信感や自分の姿に対するストレスで内臓がひっくり返りそうになっているのに、楽しいことを待っている気になってしまう。見たくも考えたくないのに皮にくるまれているオチンチンは固くなって、透明な汁をにじませている。女の子の部分からはおつゆが染み出して、お尻の毛皮ををぐしょぐしょに濡らしてしまっていた。
まさか私ってこの状況に興奮しているというの? そんなのただの変態じゃない……そんなの私じゃないわ。
「俺……まだそういうのしたことないけど、俺でいいのか?」
まだするなんて言っていないのに、佑都は私とエッチをする気でいるらしかった。こんなふうにいいかと聞く時は、彼がしたいことや本音を隠そうとしている時だからだ。
佑都も私と同じように興奮しているのだろうか?
「このままだと男になるんだろ、嫌じゃなったら俺はやるぜ。それに今の狸になったヨーコもかわいいし」
かわいいと言われたので、私は舞い上がってしまいそうになる。興奮したせいでチンチンからピュッと汁が出て、大事な所がジュンと濡れた。チンチンから液体を飛ばすという生理現象を見られて、絶望して泣き出してしまいそうなのに、私は半分浮かれた気分でもいた。
どうして? ずたずたに傷ついてしまった心と、喜びを隠せない心、その二つが私の中をグルグルと回っていて、そのどちらもが本当の気持ちだなんて。
「だめだよ、まだ私たち中学一年生なのに。それにこういうのって……」
私は好きな人同士と言いたかったけど言えなかった。
「でも男なんかになりたくないだろ? 嫌ならいいけど、やらないとやばくないか?」
「嫌じゃないよ。佑都ならいいけど……」
私はドキドキしながら言った。エッチするのは嬉しいんだけど、やっぱり恥ずかしいし、好きだと佑都に素直に言えない。それにまだ体も行為も受け入れられない気持ちも残ってるから。
でも、どうしても交尾したいという気持ちが勝ってしまう。
「いいのか?」佑都はごくりと唾を飲んだ。
「いいよ……」
「じゃあおっぱい揉んでいい?」
私が何も言わなかったので、佑都は鼻の下を伸ばしながらいそいそと服を脱ぐと、胸に手を伸ばしてきた。きっと初めてのセックスをしたくてしょうがないのだろう。彼は私の胸をわしづかみにして、ぎこちなく揉み始めた。
「んっ……」
つい、色っぽい声を漏らしてしまう。大きくなった胸を触られると、なんだか下半身まで反応してしまう。胸を揉まれると気持ちいいなんて初めて知った。
「すげえこんなに大きいの雑誌でも見たことない、ネットぐらいだ」私は胸をまさぐられながら、佑都もそういう雑誌を読むんだと知り少しがっかりした。
「お前のチンコすげえちっさいな、俺のほうが大きいぞ。皮かむりの包茎だし、すぐになくなるだろ」
確かに私のチンチンはすごく小さかった。佑都の元気になったチンチン半分以下のサイズだ。だけどお前のチンコなんて佑都に言われるとは……。
「アソコ見るぞ……」
わざわざ私に聞いてくる所が本当に初めてするんだなあと思った。私が座って御開帳してあげると、佑都は金玉を持ち上げて、その裏にあるはずの割れ目に顔を近づけた。
「恥ずかしいよ」
人間の時ですら恥ずかしいだろうのに、こんなチンチンと金玉つきの狸の姿なのだから、嫌で嫌でたまらない。こんなに恥ずかしいのに、嬉しいとも感じてしまう。
「きれいなピンク色なんだな」
そっと佑都は私のアソコへ指をそっと入れてきた。そして、またぎこちなく動かし始める。
「ひゃっ、ダメそこはっ!」
「すげえ、触る前からビチャビチャなのに、いじると汁があふれてくる」
佑都が指を動かすと、ピリピリとした痛みとじんわりとした快楽が私の下半身から感じさせられてしまう。彼の言うように、割れ目からも違和感でしかない竿の方からも汁を垂らしてしまう。
「はぁはぁ、ヨーコすげえいいにおいがする……いいよな? していいよな?」
「待って、まだ準備が出来てないよ」
「もう我慢できない、セックスしようぜ! こんなにエッチなにおいさせて、俺我慢できないよ」
「分かったから……明るいと嫌だから寝室で明り消して……ねっ?」
チンチンをビンビンに勃起させて、こんな姿になった私にすがってくる彼がとても愛おしく、かわいそうに思えてきたので、私は覚悟を決めた。
ここまで来て何もなしとはいかないだろうし、私もすぐにでもセックスを試してみたかった。したくないと思っているのだが、股のヌルヌルが止まらない。
心の準備は出来ていないのに、体の準備は十分すぎるほど完了していて、早くセックスしたいと私に要求してきているのだった。
セックスしたいけど、誰かにさせられているような気がして反抗したくなる。でも、私も我慢出来そうにない。
せめてこの体を見られながらしたくないので、寝室を閉め切ってもらうことにした。
「いいよ、来て……」
私が布団に寝て佑都を誘うと彼はすぐに覆いかぶさってきて、私の体に必死でむしゃぶりついた。ぽっこり出たお腹に顔をうずめてから、乳首に吸い付き舐めまわす。
「もう、赤ちゃんじゃないんだから」
暗くなったとはいえ、信楽焼きの狸のような体は重たくてどうしても体の異変を感じさせられてしまう。だから、私はどこかでまだムカムカと吐き気がしていた。あれほど嫌いだった狸だなんて……一生このままなら発狂してしまうだろう。
それなのに佑都は、たるんだおばさん体型の狸にがっついてくれるので、そんな彼がいつもよりももっと好きになる。そこまでしたいなら思う存分させてあげたい。
私の理性的な感情が、どこからか来たいやらしいネチネチした感情に追いやられて、すごくムラムラしてきてしまう。
「して……セックスして」
恥ずかしかったけど、無理やり口から言葉が出てくる。体が性欲に飢えていて、したくてしょうがないのだ。
「分かった、入れるよ」
私たちは正常位の状態で向かい合っていた。佑都は私の大きな金玉をどかして、私に腰を合わせるとゆっくり挿入してきた。
「あっ」
チンチンは思っていたよりもスムーズに私の膣に入ってきた。途中でパツンと弾けた感触があったので、その時処女膜が破れたらしかったけど、たいしたことはなくて、こんなものかとさえ思った。私のアソコはなんとなくまだ余裕がありそうで、もっと大きなものでも軽く入りそうだった。
「ヨーコの中すげえあったかくて柔らかい……」
「いいよ動いて」
最初は慎重だったけど、佑都はしだいにガンガンと腰を振るようになった。彼の体に対して、私のお尻もお腹も大きかったが、関係ないようで必死で腰を私に打ちつけた。
私のアソコを佑都のペニスが激しく出たり入ったりしている。下半身がくすぐったくムズかゆくて、すこし痛みがある。もっと続けて欲しいのに、佑都は焦りすぎたのかアソコからペニスが抜けてしまう。
「ほら、慌てないで落ち着いて入れてね」
早くまた入れて欲しかったので、私は四つんばいになりお尻を彼に向けると、尻尾を高く上げてセックスに誘う。
なぜだかもう一度してもらおうと思ったら、自然に四つんばいになってお尻を上げていたのだ。
「金玉でけえ! 牧場の動物みてえだ」
佑都の言葉に私はずきんと心に棘が刺さったけど、彼は私のお尻の上に乗って挿入してきた。
嫌なのに気持ちよくて、彼とセックス出来るのは嬉しい。ズキズキと快楽がごっちゃになるのが、またたまらない。私が壊れていく気がするのに、止められない。
四つんばいでしていると、さっきよりもしっくり来て興奮する。彼の言うとおり、私は動物みたいに呼吸を荒くしてあえいでしまう。私の体の芯に火がついていくみたいだった。
「気持ちいいよ! すごいこんなの初めて!」
彼は元気いっぱいに私の大きなお尻に一生懸命腰を振ってくれる。彼が腰を振ると胸がブルブル揺れてお腹の肉もブルブル揺れた。金玉だってブラブラしてしまう。
佑都がチンチンを突っ込んで膣を何度もこするので、私はおしっこがしたくなり始めていた。我慢したいけど、漏れそうになってしまう。
「あん! あっ、佑都なんか変……なんか出ちゃいそう、ちょっと止めて!」
「ごめん俺ももう出る! 出すよ!」
なにかが出そうで怖くなって、私はやめて欲しくなっていた。このままじゃ取り返しのつかないことになると、自分自身が警告してくれているみたいだった。このままじゃだめだ、たいへんなことになってしまいそうだ。早く抜いて欲しい。
なのに佑都はより激しく私を突いてくる。ガツガツと突き上げられると、私のチンチンが固くなって、膣が収縮する。おしっこを我慢してるのに、突かれる度に少し漏れてしまう。
「だめ、漏れちゃう! 漏れちゃう! おしっこしたい!」
佑都がより深く私の中へ突いてきた気がする。ダムが決壊するように、私のチンチンの根元でなにかが崩れると爆発が起こった。
ドピュドピュ――。
頭が真っ白になる。私の小さな毛皮をかぶった包茎ペニスから、白い液体が勢いよく飛び出して布団にかかった。小さくてもこの竿は液体を出すためのものなんだなと、確認することができた。
「うおおおっ締まる!」
佑都はぴったりと腰を私にくっつけている。ぎゅっと引き締まった私の膣内でかすかな動きを感じたので、彼も射精したのだろう。
そう、私も射精していた。しかも、彼より量が多く、長い間射精しているようだった。
数秒間かもしれないが、彼よりも射精していたのだ。そのことがなんだか誇らしくなると同時に、男性器を使うとオスになると言われていたことを思い出し、私は怖くて血の気が引いていくのを感じた。狸……狸のオスになっちゃう……。
汚らわしい信楽焼の狸の置物が頭の中にフラッシュバックして、あんな姿になるというおぞましさに地肌が粟立つ。
「んふー……」
だけど、射精し終わって、全身がぶるりと震えるとどうでもよくなってしまったのだ。こんな気持ちいいなんてと、セックスなのか射精なのか分からなかったが感動すら覚えてしまう。更に私の中に出し終えた佑都がほっぺたにキスしてくれたので、幸せな気分でいっぱいになり、私の脅えなど完全にどこかに行ってしまった。
チンチンから出してしまったけど、触ってないから大丈夫だと私は自分に言い聞かせることにした。佑都も初めてセックスしたからなのか、私がチンチンから精液を発射してしまったのには気がついていないようなので、黙っておくことにしよう。
私が狸になって射精してしまうなんて、目を覆いたくなる出来事で、非常に受け入れられないことなはずなのに……私はまどろみのなかに沈んでいき、ぼんやりと射精後の余韻から抜け出せなくなっていた。
悪いことはなにも考えられない、ただ快楽だけが満たしていく。チンチンのことよりも、佑都と一つになれたことを喜んでしまっている自分がいた。[newpage]
八
それからはタガが外れたみたいに、私たちはセックスをし続けていた。
起きている時はほぼ佑都とつながっていた。時間の感覚がおかしくなって、今が何日なのかさえ分からなくなっていた。
それでも私は自分の体を見るのが怖くて、閉め切って暗い寝室から出ようとしなかった。布団は外に置けば新しいのに取り替えてもらえたし、食事も運んでもらえたので特に困ることはなかった。
私と佑都はまさしく獣のようにセックスに明け暮れた。中毒になったようにやめられなくなっていた。初めは抵抗があったのに、一度絶頂してからはとにかく体の火照りを解消することが優先されてしまっている。セックスをすれば女の子に戻れるという理由もあり、とにかくやらなければならないという使命感を私たちは持ってしまっていたのかもしれない。
「ヨーコは獣臭いな」
「もうっそんなこと言わないでよ」
トイレは部屋にも小さな個室があったので、寝室から逃げるように駆け込んですませているが、お風呂だけはどうにもならなかった。
人に見られたくないので、温泉には行きたくない。それにセックスしていたらすぐに汗をかくし、私は今狸なのだからお風呂に入らなくても気にならなくなっていた。
今はそれよりもこの性欲を解消する方が先決すべき問題だ。
「んっ」
佑都が私のマズルに舌を入れてきたのでキスをして絡め合った。人間の口と大きな狸の口なので、どうしても私が舌で彼をビチャビチャに舐め回してしまうのだが、そんなことお構いなしに、お互いに口付けを交わし舐めあった。
狸になりたての時よりも、私の口が大きくなったみたいだった。佑都の舌はとても小さくかわいいので、私は大きく分厚い舌を使い佑都の口の中や顔をなめまわした。佑都も一生懸命に私のマズルに舌を入れたり、口の中の分厚い舌にしゃぶりついたりしてきた。
不器用で汚らしいくらいだったけど、私は恋人になった気分でとても幸福だったので、自分からキスを積極的にしかけていた。
「獣臭いなーすげえ興奮する……」
キスの後で佑都は私の乳首を舌で転がしながら陰部を手でまさぐったり、体臭を嗅いだりしている。最初のころに比べてずいぶん慣れたものだ。今は自分の好きなように、狸となった私のたるんでいる毛皮の体を愛撫するのだ。
あんなに嫌いだった狸も、今はあまり気にならなくなっていた。
「もう、変態! これでも気にしてるのに。もう勝手に入れちゃうからね」
愛撫されて、クリトリスから作られた私のチンチンが勃起していて、あそこも十分濡れまくっている。チンチンは狸になりたての時よりも小さくなっていて、そのままクリトリスになろうとしているのかもしれないと思っていた。
私は佑都の上にまたがると、腰を下ろして彼のオチンチンを女性器へ導き挿入させた。
「重っ」
そうは言っているが、彼は私に乗られて上からが犯されるが好きなのだ。重いのが肉体を感じられていいらしい。
私が彼の上に座って後ろから犯される、背面座位の体位になると、体重に負けないように頑張って下から突き上げられた。突き上げられる度に私の金玉に彼の金玉がぶつかってしまう。やはり佑都は私を下から犯すのが大好きらしい。私の体が大きくて重いから心配だ。私は四つんばいでされるのが好きなので、後で後ろからしてもらうつもりだ。
「うーきついな、これが締りが良いってやつかな? これだとチンコも早くなくなりそうだな」
セックスをし続けて私のアソコがよく締まるようになったのだ。チンチンだって小さくなっていて、今は勃起してもらっきょうみたいな包茎がちょこんとついているだけだ。
だけど、金玉は最初より大きくなったようだった。暗くてよく分からないし、鏡だって見ていないから予想なのだけど、体もまた大きくなって重くなってしまったようだ。胸は大きくなり、同じように更に大きくなったお腹の肉によって左右に別れるように垂れ下がっているみたいだ。お尻もふともももブリブリと太ってしまい、佑都が犯す時に体格差が顕著になるようになってしまっている。
「いいよ、ヨーコエロイぜ、気持ちよすぎる」
佑都は私を夢中で犯してくれる。こんな信楽焼の女の子でも、ブヨブヨの体でも求めてくれる。距離を置かずに接してくれる。それが嬉しい。
私はだらしない体を揺らしながら彼とまぐわう。
「出すぞっ!」
「あっ私も出ちゃうっ!」
佑都がイクと同時に私も射精する。彼は私の女性器を犯し、胸やお腹、お尻しか触らないのだが、セックスする度に私は射精してしまった。感度の良い時は入れられただけで射精してしまうことさえある。
もう何度もセックスしているので、私のカチカチに小さく縮んだオチンチンから精液が何度も出てしまっているのだ。
セックスしないと男の人になっちゃうけど、セックスすると出してしまう。だから出来るだけ出さないようにしているのだけど、どうしても射精してしまう。
男の子の部分は使いたくないけど、出てしまうのは仕方のないことだし、直接使ってないから大丈夫だろう。
「これでまた女の子に近づいたか? 胸が大きくなるのも尻や太ももがムチムチするのも女の子らしさだからな」
彼は私が毎回射精していることはさすがに気がついているみたいで、私の体の変化もなんとなくは知っているみたいだった。
確かに胸は大きくなってるし、チンチンは小さくなっているから、女の子に近づいているのかもしれない。人間の女の子にはまだまだ戻れなさそうだけど。
「ヨーコもう一回いいか?」
いいかもなにも、元気に回復した佑都は、すでに私のアソコを広げて中のビラビラを舐めていた。佑都も私と同じように欲情して、性欲が高まりっぱなしの状態が続いていた。私が興奮してしまうのはこの毛むくじゃらの体のせいだろうけど、彼があまりにもエッチなので普段もこうなのか聞いてみると、私といると興奮するらしく、においが病みつきだそうだ。
「もう、エッチなんだから……」
私のせいかなと思いながらも、こんな私の体に興奮しているという事実が、私を更に興奮させる。
四つんばいになって尻尾を上げると、彼は私の中にすぐ挿入してきた。この体勢になると大きくなった金玉がブラブラするのをはっきり感じてしまい、それを暗闇とはいえ佑都に見せつけてしまうので嫌なのだが、これが一番気持ちよくしっくりくる体位だったので、私はよく四つんばいになって犯された。
「きゅおおおん!」
入れられただけでブピュっと精液が出て、私は絶頂してしまった。だめなのに、オチンチン使ったらだめなのに……。
「今の本当の狸みたいだったぜ」
佑都はそう言って腰を振って私にしがみついて後ろから犯し始めた。大きなメス狸のお尻に彼の腰が打ち付けられて、金玉が揺れる。
「キツイなあ……」
ペニスにかき回されて、キュンキュンと私の膣が収縮するのを感じる。そして振り子みたいに揺れている金玉もキュンと固くなる。
あっ……出ちゃう、出たばっかりなのに。あんま出したくなのに。
「あっ、ちょっと待って!」
と、言ったものの、特に私は抵抗もしていなくて、彼も一切待たなかったので、チンチンから白い液体が飛び出した。
出したくないのに、ここは使いたくないのに、どうしても射精しちゃう。
「すぐ出たな。でも、胸だってまた大きくなったみたいだぞ、体も太ったかな?」
佑都は楽しそうに私を犯しながら背中にもたれかかると、胸を両手でわしづかみにして乱暴に揉んだ。
確かに胸は大きくなったみたいだったし、体も大きくなったかもしれない……けど、なんだか金玉までまた大きくなった気がする。
だけど、チンチンも固くなってまた小さくなったみたいだから、どんどん女の子になってるんだと思う。
この調子で人間にも戻れたら良いのに。そう思っていると私の頭からパラリと髪の毛が抜け落ちた。
またかと私は思い、髪の毛をつまんで確認した。絶頂すると体が少し変化するのだが、ここ数回から髪の毛が抜け落ちるようになったのだ。毛皮があるから禿げにはならなそうだけど、女の子の髪の毛がなくなるのは耐えがたい。狸にされ髪の毛まで抜けるなんて最悪の最悪だ。
この前佑都のチンチンをしゃぶってあげていた時に、彼が私の頭をなでただけでごっそり髪が抜けるということがあった。
佑都は謝ってくれたけど、彼のせいじゃなく簡単に抜けてしまうのが問題なのだ。チンチンがなくなっても、髪の毛までなくなるのは困る。
ああ、早く人間の女の子に戻りたい――。
「調子はいががですかな?」
疲れたので休憩していると、吉郎狸さんが様子を見に来た。
だけど、あまりいい顔をしていない。どこか期待外れだと言いたげな反応だった。
「やっぱこいつ獣臭いですよね。してるときはいいけど、ちょっとにおいますよね」
「まあ、たしかにそうですね……お風呂に行かれてはどうですかな? 経過もあまりよろしくないようですし、その間に私がご協力できるよう手はずを整えておきましょう」
「そんなににおいますか?」私は自分の太くなった腕をクンクンと嗅いでみた。
「ええ、体を洗わなければにおいが毛皮にこもるでしょうし……ずいぶんと激しく交尾されてるみたいですから」
吉郎狸さんがニヤリといやらしく笑う。私はちょっと恥ずかしく気まずくなってしまう。
「ところでお二人は恋人なのですか?」
「いや、ただの友達ですよ……」
「そうですか、ただの友達ですか……いえ、ずいぶんと親密なようで、こんなにも体を重ねられているのは、まさしく愛し合っているからなのかと思いましてね」
いきなりなにを言い出すのかと、恥ずかしくなって吉郎狸さんを見たのだが、和服の狸親父は嫉妬深い目つきで私たちをにらんでいたので、私はドキリとした。
何日かぶりに明るいところに出たので目がしぱしぱする。あれからすぐ吉郎狸さんは部屋を出て行ってしまったので、私もお風呂に行くことにした。佑都に見られないように、私だけ先に寝室から出たのだ。浴場に出ると空はどんよりと暗かったので夜なのだろう、かがり火が焚かれている。
久しぶりのお風呂は気持ちいい。狂ったようにセックスしていたが、どう考えても異常なので私たちはどこか壊れてしまったのかもしれない。でも、温泉につかることで、その呪縛から逃れることができた気がする。今日は何日なのか、美雪はどうなったのか、お風呂から上がったら色々と確認しよう。
それにしても私はだいぶ体が大きくなってしまったようだった。温泉に入ることでそれが分かりやすく確認することができた。浴槽や周りの物と比べて私はずいぶん大きく、目線も高くなっている。大きくなっただけでなく、だいぶ太ってしまっているようで、明るい場所だと大きな丸いお腹やふとももが嫌でも目に入ってくる。
お風呂から上がり体を乾かす。タオルで拭いているのだが、自分の体が大きく毛皮でモコモコしてて違和感しかない。私は股の間を見た。そこにはらっきょうと大きめの皮袋がついていた。
本当に女の子になっているのだろうか? 少なくとも髪の毛は拭いているうちに全て抜け落ちてしまったらしく、頭を拭いても毛皮しかないようだった。
脱衣所には大きな鏡があり、入る時は避けるようにして見なかったのだが、リラックスして精神的にも落ち着けたので、勇気を出して自分の姿を確認することにした。
鏡にはとても大きな狸の獣人が映っている……。
ショックではあるが、入浴中にもしかしたらと予想していたことなので、やっぱりなとしか思えなかった。
よく見れば狸もそんなに悪くない。たまにはこういうのもいいとさえ思った。
体は大きくなってすっかり太ってしまっているし、お腹もすごく丸く膨らんでしまっている。腕もふとももだってしっかりと太くごつくなってしまっている。
髪の毛は思った通りなくなっていて、顔も太ってしまっている。顔は肉で横にぽっちゃり大きくなり、目つきも悪くなったみたいで、なんとなくいかつくて野暮ったい感じになった気がする。
これじゃ相撲取りのようだと思った。力士の体型にそっくりだったからだ。
こんなので女の子に近づいているって言えるのかしら? まるで自分がオスの狸に見えるし、より女の子の部分がなくなってしまったみたい。
私はタオルで頭を拭きながら胸を揉んでみた。ちょっと気持ちいいのが悔しいけど、ムニュっとしていて前のようにボインとした張りと弾力がなくなってしまっている。脂肪でただ垂れているだけのように見えた。
でも、ムニュムニュしているのは気持ちがいい……片手で頭を拭きながらもう片方の手で乳首の先をコリっと刺激する。どんどん気持ちよくなってきてしまい、私は体を乾かすのを中断すると、両手でだらしなく垂れ下がっている自分の胸をまさぐった。
乳は毛皮でフサフサしていて触ると気持ちよくて、らっきょうのようなオチンチンまで反応して固くなっちゃう。今はもう人間だった時の親指より小さいけど、岩みたいに固くなっている包茎オチンチンの先の皮が余っている所から、じんわり先走りが垂れてきちゃう。
佑都のせいでピンク色から黒ずみかけている乳首をコリコリいじっていると、ムラムラして我慢できなくなっちゃう。鏡には目つきの悪い太った狸が乳首をいじって興奮した姿が映っている。自分の姿なのに、余計にムラムラしてしまう。私が女の子だからこういうオスの狸が好みなのかもしれない。けど、それって私が男の人になっているってことなんじゃ?
いや、そんなことはない……そう思いながらも体は疼いて静まらない。こうなると下半身に意識がいってしまう。
私は大きな金玉を持ち上げて、裏の割れ目に手を伸ばした。私のアソコは前ならグチョグチョに濡れておつゆが垂れてしまうぐらいだったのに、指を入れてみるとしっとりと湿ってるだけだった。それが愛液なのか、お風呂上りだからなのかも分からない。
それよりも持ち上げた金玉が気持ちよく感じた。皮の袋も男性器になるのかなって思いつつも、胸と同じように揉み始めた。
狸の金玉はふっくらしていて、中にボールが二つ入っていて、垂れた胸よりも柔らかく、なにより触ってて気持ちよかった。金玉なんていじっていると、私のらっきょうが気になる。実は最初からいじりたいのを我慢していたのだ。
オスになると釘をさされていたし、佑都の手前もあって触れなかった。だから試してみたい……だめだと分かっているのに、ちょっとだけ、少しだけ、触ってみることに私は決めた。
皮が剥けていないらっきょうチンチンを指で押した。ゾクゾクと震えて背中に電流が走った。ちょっと触っただけなのに、すごく気持ちいい……。
甘い痺れがあって、射精の快感を薄めたような心地よさがある。名残惜しいので、また触って手を離すを繰り返すようになって、気がついたらチンチンを普通にいじっていた。
少しだけから、もう何度も出してるし一回だけならと自分に言い聞かせてチンチンをいじる。ああ、私……男の人のでオナニーしちゃってる……。
やめなきゃと思うのに、続けたい気持ちに負けてしまう。ほとんどつかめないくらいに小さく縮んでしまっているので、指先でつまんでしごく。チンチンをしごくと金玉も揺れるし、乳首をつまんだらもっと気持ちよくなった。私のアソコも濡れてきちゃって、佑都のチンチンをここに入れて欲しかった。
すごいな、チンチンがこんなにいいなんて。佑都はいつもこんなに気持ちのいいことしてるなんて思わなかった。私もしゃぶられたり入れたりしてみたい!
でも、それは男の人の考えだ。そんなことだめだし、そんな考え捨てなくちゃ。まずはこの手を止めないと……。
でも、やめられない。せめてこれだけはいかせて欲しい。これで最後にするから、今回だけオナニーしたい。
やめようとしても、手が動いてしまうし、頭の中が乱されてしまう。やめたいのにオナニーの仕方が分かってきてしまった。皮を剥けないから、皮を動かすようにしごいたら気持ちいいのだ。
男の子はみんなこんなことしてるのかな? 佑都も普段はしてるのかな? 私は女の子なのにこんなことしちゃってる……狸の相撲取りみたいになっちゃってるのに、それに興奮しちゃう! 私って変態だったの?
鏡に映る狸は我慢しつつも気持ちよさげだ。鏡に映る姿、それは私なのだ。私じゃないのに私なのだ。私は狸なんだ。
狸は体を激しくゆすっている。おしっこがしたくなったのだろう。せめてここではない所でしようとしたのだが、間に合わなかったらしく鏡の中で小さなチンチンから白い液体を飛ばした。
そして、私のオチンチンの根元が爆発したのだった。
「きゅおおおおおおおおんっ!」
ドクッ! ドクッ! ドクッ!
今までで一番大きな爆発だった。金玉が大きくなってるので飛距離も量もすごかった。壁に水鉄砲を撃ってるように射精して、白くドロドロに脱衣所を汚した。
らっきょうのような小さなオチンチンから、たくさんの精液が勢いよく飛び出していた。
私は快楽と達成感を感じながら、なにか大切なものを失ってしまったのだった……。